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建築  雑コラム 29

Architecture         The s   Column    

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フランスの建築

ル・コルビュジェ以外にフランスで観てきた建築の話をしようと思います。

まずは、パリから

パリはセーヌ川、とその中にあるシテ島を中心に紀元前から存在するが、ローマ帝国に支配された時期もある、しかしローマの痕跡は

あまりこの街からは感じない。

パリはやはり中世以降の街だと思います。

そして一番輝いたのはル・コルビュジェやモネ、セザンヌ、ピカソなど芸術家が活躍した近代です。


パリ地図 (2016.7.1)

ノートルダム寺院のあるシテ島を中心にルーブルのある1区、2区3区とカタツムリの様に区が続いて形成されています。

番号の多きい区ほど新しい地域となっています。 特に18,19,20区は移民が多く治安の悪い地域になりますので気を付ける必要があります。

ではシテ島のノートルダム寺院からこの教会はゴシック建築の代表の様に言われる建築です。

特に八方に伸びたフライングバットッレス(ひかえ壁)は正にゴシックの代名詞の様になって居ます。


シテ島のノートルダム寺院 ゴシックの代名詞フライングバットレス (2016.7.2)

そして正面の双塔も有名です。

                    
                    ノートルダム寺院正面の双塔 (2016.7.3)

丹下健三が設計した新都庁舎のデザインも一時期ノートルダム寺院の双塔に似ていると批判された時期もありました。


東京都庁舎の双塔 (2016.7.4)

1区にあるルーブル美術館は1200年頃に要塞として建てられた城から始まっていて、現在の美術館内にも要塞の石垣跡が見られる

1546年にルネサンス様式の宮殿として建築され1852年にナポレオン三世のパリ改造に伴い新館がつくられる、1793年から美術館として

世界最大級の美術館となっています。

                     
                     ルーブル美術館 (2016.7.5)

中庭のナポレオン広場に建つガラスのピラミッドは1993年にアメリカの建築家イオ・ミン・ペイによってつくられた。


イオ・ミン・ペイ(1917- ) (2016.7.6)

ピラミッドの地下には逆さのピラミッドとなっています。
             
                     
                     地下の逆さピラミッド (2016.7.7)

パリの美術館は毎月第一日曜日は何処も無料で開放されています。

ルーブル美術館への入場は大変込み合いますが地下鉄からこの地下街のピラミッドの先に地下の入場口があって穴場となります。

シテ島にあるステンドグラスで有名なサント・シャペル教会でブラームスのコンサートがあって行ってきました。


ゴシック建築のサント・シャペル教会(メトロ  Cite駅) (2016.7.8)


          
          夕日のステンドグラスが素晴らしい (2016.7.9)

                       
                       これほど開放的なゴシック建築は初めてです。 

夕日から夜にかけての変化の中で聞くブラームスの4重奏のコンサートはとてもいい思い出になりました。(2016.7.10)

パリではこのサント・シャペルや、サン・ジェルマン教会などではよくコンサートが開かれているようでチェックしておく価値があります。

次はオペラ座 この建物はコンペディション(設計競技)によって、建築家シャルル・ガルニエが選ばれた。

       
       オペラ座

1875年に竣工し設計者の名前をとって「ガルニエ宮」とよばれている。 (2016.7.11)

石造建築に見えるが工事中の写真を見ると鉄骨造のようだ

     
     工事中の写真

ネオ・バロック様式で豪華さで圧倒される。 (2016.7.12)

まずエントランスを入ったところに階段ホールがある

                      
                      大きなスペースを使った階段ホール  (2016.7.13)

ホールを上ると円形劇場の外郭はそれぞれの客席ブースへの専用扉が並ぶ

                           
                           外郭ホール (2016.7.14)



劇場内部  (2016.7.15)

天井はシャガールの絵とオペラ座の怪人で有名な巨大なシャンデリア

            
            天井 (2016.7.16)

次は今まで紹介したものに比べればあまり有名ではありませんが、私たち建築家からすると近代建築の夜明けに大きな影響を与えた、

クロード・ニコラス・ルドゥーのラ・ビレットの関門です。


ラ・ビレットの関門 1789年 (メトロ7番線Stalingrad駅) (2016.7.17)

その当時パリの街に入るには関所があってその関所のうちの一つですが、建物の構成が円筒や正方形を使った幾何学をベースとしています。

            
            円筒の中央は現在レストランとなっている。 (2016.7.18)


                             
                             階段部分の詳細もきれいでシンプルな納まり  (2016.7.19)

パリで私がおすすめするのはパサージュ巡りです。


パサージュ・デ・プランス(メトロ8番線Richelleu Drouot駅) (2016.7.20)

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      パサージュ・デ・パノラマ(メトロ8番線Grands Boulevards駅) (2016.7.21)


              
              パサージュ・ジュフロア(メトロ8番線Grands Boulevards駅) (2016.7.22)


                         
                         ギャルリー・ヴィヴィエンヌ(メトロ3番線Bourse駅) 

どのパサージュも活気があってとても楽しい空間です。 メトロ8番線、Richelleu Drouot駅、Grands Boulevards駅近くに多くあります。(2016.7.23)

ギャルリー・ヴィヴィエンヌの近くに1875年に竣工したアンリ・ラブルーストとジャン・ルイ・パスカル設計の旧国立図書館があります。


旧国立図書館(リシュリュー館)(2016.7.24)


                               
                               書庫

鋳鉄のボールトがとても軽快な空間です。

私が訪れたときは工事中で写真は工事看板の写真です。  (2016.7.25)

パリといえばアールヌーボーが有名です、オルセー美術館の中にもアールヌーボーのコーナーがあって一時代をしのべます。

街中の門扉などにもアールヌーボー調のものもよくみますが、メトロの入り口上屋が有名ですのでご紹介します。


1,4,7,11,14号線のChatelet駅  (2016.7.26)


         
         側面より  (2016.7.27)


                
                2号線Porte Dauphine駅

                            
                            正面  (2016.7.28)


                                         
                                         足元の詳細と壁の絵  (2016.7.29)



12号線Abbesses駅  (2016.7.30)

Abbesses駅はモンマルトルの丘に行くときの駅ですとても深い位置に地下鉄が走っていますので階段で登ると一苦労です、エレベーターを!

               
               庇部のディテール  (2016.7.31)

せっかくここまで来ましたので観光気分でモンマルトルの丘へ行ってみましょう。

公園の下からはケーブルカーで上まで行けます。


ケーブルカー  (2016.8.1)

           
           パリの街の全景が見えます。 (2016.8.2)

頂部にある教会がサクレ・クール聖堂です。
  
                    
                    サクレ・クール聖堂 (2016.8.3)

サクレ・クール聖堂は1889年に完成したロマネスク様式の建物ですが、ビザンチンの流れもあるようです。

                            
                            ロマネスク様式の内部  (2016.8.4)




モンマルトルの街並み (2016.8.5)

モンマルトルの丘はかって芸術家の街でピカソ、モジリアーニ、マチス、ルノアール、ゴッホ、ドガ、ユトリロ、ロートレックなどこの界隈で住み

またこの界隈の酒場で飲み、騒ぎ、数多くの絵を描いていた場所です。

お山のてっぺんでパリの街を見下ろすこの場は結構陽気な感じがして、日本の陰気な芸術家に比べてフランスの芸術家は陽気なのかもしれません。
(2016.8.6)


ル・コルビュジェを尊敬したブラジルのオスカー・ニーマイヤーが1960年から1980年までフランスに亡命していた、その時に作ったのが

フランス共産党本部ビルで1981年に竣工している。


フランス共産党本部ビル 1981年 (メトロ2号線Colonel fabien駅)

ニーマイヤーらしい曲線と 球面の屋根の議場がよくマッチしている。(2016.8.7)


オスカー・ニーマイヤー(1907年〜2012年)

ガラスのカーテンウォールの納まりも良く 秀作の建物だと思いますが、あまり皆さんパリに行っても見ていない人が多そうです。

                      
                      湾曲した地盤面ときれいにデザインされたピロティーの納まりも一見の価値があります。(2016.8.8)

次は1971年にコンペティションにてイタリアの建築家のレンゾ・ピアノとイギリスの建築家リチャード・ロジャースによって設計され1977年に竣工した

ポンピドーセンターを紹介します。


ポンピドーセンター (メトロ2,3,811号線Rembuteau駅)(2016.8.9)

ちょうど私が大学を出てLAND建築事務所で働き始めたころ竣工したこの建物は、メカニックで、空調の配管も外にむき出しで

大変センセーショナルな建物でした。

                 
レンゾ・ピアノ(1937年〜)                         リチャード・ロジャース(1933年〜)

日本のメタボリズムとも協調する部分があって、菊竹ファンであったその当時の私は、旋律を覚える建物でした。

今回で4回ほど訪れていますが、やはりインパクトのある建物です。

細い筋交い、鋳物の片持ち梁など鉄をいろんな形で使っています。


            
            前の広場が斜めに掘り下がっていて地下1階がエントランスになっている。(2016.8.10)


                                                
上部階には近代から現代までの美術館があってアプローチは外からのエスカレーターで登っていく。(2016.8.11)


                                     
                                     外部チューブの中のエスカレーター(2016.8.12)



鋳物の片持ち梁(恐竜の骨のようだ)(2016.8.13)

                      
                      最上部の柱、40年もたっているのでペンキも剥げてメンテランスが必要かも?(2016.8.14)



内部の展示場の空調配管もむき出し、トラス梁もむき出し(2016.8.15)


ノートルダム寺院からセーヌ河を東に行くと川沿いにフランスの建築家ジャン・ヌーベルの最初の作品アラブ世界研究所(1987年)がある。


アラブ世界研究所(1987年)(メトロ7番線Sylly Morland駅)

              
               ジャン・ヌーベル(1945年〜)(2016.8.16)

                                    
                                    セーヌ川と反対側のガラス壁面(2016.8.17)



近づくと細かい細工がしてある、イスラムのモスクに近づくと細かいタイル模様を見る感覚に近い。

                       
                       内部より見た 金属の切り込んだスクリーンがガラスの内側にとてもきれいです。(2016.8.18)

ジャン・ヌーベルの建物はほかにもよく見ましたが、最初のこの建物を超える建築は見ていません。

期待している建築家ですので今後の作品に期待しています。


エレヴェーターと階段室

             
              展示室内(2016.8.19)


                            
                            屋上からノートルダム寺院を望む(2016.8.20)

もう少しセーヌ河を東に行くとポール・シュメトフ&ボージャ・ユイドブロがコンペで勝ち取り設計した。大蔵省新庁舎がある。


大蔵省新庁舎 とても細長い建物です。(メトロ6,14番線Bercy駅)(2016.8.21)

川向うにはフランス新国立図書館(1995年)(メトロ6番線Quai de la Gare駅)が見えてきます。

                      
                      四角の四隅に建つくの字の高層建物が4つ(2016.8.22)


                                         
                                         ガラスの壁面(2016.8.23)

設計はコンペで優勝した、フランスの建築家ドミニク・ペローです。

                  
                  ドミニク・ペロー(1953年〜)


ガラス壁面の内側には縦軸回転の木パネルがあって日差し等を調整しているようだが、使い勝手が邪魔にならないのか?(2016.8.24)

          
          中央にはアカ松の林に近い庭が掘り込まれていてその庭を望む回廊が低層部の図書館となっている。

全体の構成が面白い建物で印象ぶかい。

                   
                   中央部が屋外階段となっていて、それをステンレスメッシュで覆っている。

ステンレスメッシュはドミニク・ペローの他の建物でもよく見る彼の好みの材料でとてもうまく使ってあります。(2016.8.25)

アメリカの建築家フランク・O・ゲーリーの設計したアメリカンセンター(1994年)(メトロ6,14番線Bercy駅)も近くにあります。


アメリカンセンター(1994年)

かなり外壁が汚れてみすぼらしい状況でした。(2016.8.26)

19区のラビレットの公園の設計で名前を売ったのが、スイスの建築家ベルナード・チュミ(1944年〜)です。


ラビレットの公園(1982年)(メトロ7番線porte de la vilette駅) (2016.8.27)

                      
                      ベルナード・チュミ(1944年〜)(2016.8.28)



ラビレット 科学館(2016.8.29)

パリの北西郊外ラ・デファンスは新しい街でその中心に新しい凱旋門グランダルシュが1990年に建てられた。(メトロ1番線La Defense Grande Arche駅

設計はフランスの建築家ポール・アンドリュー(1938年〜)です。

               
            グランダルシュ(1990年)(2016.8.30)



ポール・アンドリュー(1938年〜)

                  
                  下部は宙に浮くテント(2016.8.31)


                                                       下から見上げた グランダルシュ 


はるか遠くにかすむ凱旋門からここ新凱旋門まで軸線が通っている、さすが! (2016.9.1)
 

ジャン・ヌーベルが1994年にカルティエ現代美術財団の建物を設計する。  


カルティエ現代美術財団(1994年)(2016.9.2)

        
        ガラススクリーンが塀代わりに歩道間際に 透明なスクリーン気持ちは分かるが、きれいではない。

             
            デティールがきれいでないからかもしれない(2016.9.3)


屋外階段部分 避難するのにかなりの遠回りするように思えるのだが、(2016.9.4)

2014年西部のブローニュの森の中に建てられた、アメリカの建築家フランク・O・ゲーリーの設計した、ルイヴィトン美術館(メトロ1番線Les Sablons駅)


 ルイヴィトン美術館(2014年) 今回はガラスのフィッシュ(魚)(2016.9.5)


           
          フランク・O・ゲーリー (1929年〜)

                
                相変わらずものすごい造形 建築というよりむしろ巨大なオブジェ(2016.9.6)

人気はかなりあるようで入場者の列が30分待ち、ゲーリーの建物はどこも観光地となっているような気がします。

しかし建築的には私はあまり好きな建物ではありません。

                      
                      ステンレス板の納まり(2016.9.7)

手作りっぽかったゲーリーの建物は、この建物では木と、ガラス、ステンレス、コンクリートなど多くの材料を使ってそれぞれの納まりもとてもきれいに

納まっています。

          
         屋上部分(2016.9.8)

パリを離れてリヨンで見たものをご紹介します。

リヨンはフランス中部の街でまちの中心をソーヌ川が流れ中世より「絹の街」として栄えました。

北西の丘がフルヴィエールの丘で丘の上にノートルダム・ フルヴィエール大聖堂が建っています。


   フルヴィエールの丘(2016.9.9)


              
               ノートルダム・ フルヴィエール大聖堂 

                    
                    ロマネスク様式の大聖堂の内部(2016.9.10)

                         
                       フルヴィエールの丘からリヨンの街を望む

丘の中腹にはローマ時代の遺跡が残されています。


ローマ遺跡(2016.9.11)

遺跡の隣に地下に造られたガロ・ローマ博物館があります。

        
         ガロ・ローマ博物館

                     
                   きれいな回り階段(2016.9.12)

街の中心市庁舎裏にジャン・ヌーベルが1993年に古い建物をリノベーションしたオペラ座があります。


オペラ座

             
              正面(2016.9.13)


                      
                      内部は黒く塗られている(2016.9.14)



バロック様式のリヨン市庁舎(2016.9.15)

地中海沿いのまちマルセイユで見た建物をご紹介します。

パリからTGVで3時間半で地中海の港町マルセイユに到着します、まちの南に丘があってその上にノートルダム・ドラギャルドバジリカ聖堂が見えます。


港から丘の上のノートルダム・ドラギャルドバジリカ聖堂を見る(2016.9.16)

港の近くにはサント・マリー・マジョール大聖堂が建っています。


ドームの形と縞模様はイスラム建築の影響が入っているように感じます。やはり地中海で文化は影響しあっているようだ。

          
          サント・マリー・マジョール大聖堂 正面(2016.9.17)
                       
                            
                            内部

港の近くに休館で入れなかったがイタリア ミラノの建築家ステファノ・ボエリが設計したヴィラ・メディテラネがある


ステファノ・ボリエ


ヴィラ・メディテラネ

                           
                           このキャンティーはかなりアクロバティックだ(2016.9.18)

この建物の隣にアルジェリア出身でフランスで活動する建築家ルディ・リッチオッティが設計した、欧州・地中海文明博物館が建っているが、

エントランスはサン・ジャイ要塞からのブリッジを渡って入る

                     

サン・ジャイ要塞

         
          サン・ジャイ要塞から欧州・地中海文明博物館屋上に繋がるブリッジ(2016.9.19)

                  
                       ルディ・リッチオッティ(1952年〜)


                   
                   ブリッジ


屋上(2016.9.20)


       
        外壁を囲う植物の葉脈を連想させるPC版

             
             外壁の周りにスロープがその外にPC版となっている。(2016.9.21)


最後にマルセイユ ユニティー屋上から見た地中海風景で終わることにします。

              
              ユニティー屋上から見た地中海風景(2016.9.22)

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