建築 雑コラム 52
Architecture The s Column
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2023年 新年明けましておめでとうございます。
黒岩ほるぷ子供館(1975年)
コロナで海外に出れないので昨年は国内で北海道、青森、秋田、岩手を旅行しました。
その中で一番印象深い建物は青森県黒岩ほるぷこども館です。
1975年(48年前)に菊竹清訓先生の設計にて竣工しました。
当時は今ほど共稼ぎで両親が小学生の帰宅時に居ない家庭は少なかったと思います。
まして青森のこの地に学校帰りの子供が集う場が創られた事に驚きます。
そしてこの建物細部に至るまで丁寧に優しく創られて心が温まりました。
現在も生き生きと利用されていて良い建物は残るのだ! と確信しました、
安藤忠雄先生も最近こども本の森を各地に建て続けて子の建築と共通する次世代に向けられた」建築家の思いを感じます。
今年も良い年になることを祈ります。
(今年の私の年賀状です) (2023.1.1)
北海道
まずは北海道の建築から
最初は苫小牧市郊外にありますニドム石彩の教会(1991年)です
ニドム石彩の教会(1991年) (2023.1.2)
広大な森林の中にゴルフ場、ホテル、と結婚式場がある施設です
設計は 伊丹潤(1937年〜2011年)です
伊丹潤(1937年〜2011年)
奥のチャペル
石積みの外壁に伊丹さんらしさが漂います。
45年ほど前に東京表参道にありましたLAND建築事務所に勤めていた時に伊丹さんが設計した地下にあるレンガ張りのレストランの雰囲気の
良さを思い出します。 伊丹さんは材料をとてもうまくその素材の存在感を最大限に引き出せる建築家です。 (2023.1.3)
手前に入口があります (2023.1.4)
入口とチャペルをつなぐアプローチ (2023.1.5)
湾曲した石の壁の中央に飛び出した 入口 (2023.1.6)
入口に入ると木製のスペースの先に通路 (2023.1.7)
入口とチャペルをつなぐ通路 石積の腰部の上はFIX窓その上はツヤありの天井
チャペルに向かう同船に自然の森を眺めながらアプローチできる演出です (2023.1.8)
突き当りを右に回ります
小さなスペースがあります、進んで左のドアの向こうに (2023.1.9)
石積の壁と丸太組のレーモンド調の構造 落ち着いたとても良いチャペルです (2023.1.10)
簡素な正面 (2023.1.11)
柱は一本おきに2本になっている (2023.1.12)
梁を挟み込んでいる構造のようだ (2023.1.13)
トラス梁も挟み込んで構成されている、だから梁も一本おきに2本なのだ
良く見ると複雑なトラス梁です、屋根は腰折れ屋根のようです (2023.1.14)
次は苫小牧市立中央図書館です 1988年に岡田新一の設計で完成しました
苫小牧市立中央図書館 (1988年) (2023.1.15)
右に植物園が併設されています (2023.1.16)
岡田新一 (1928年〜2014年)
岡田新一は最高裁判所のコンペに勝ち最高裁判所、警察庁本館庁舎などの作品が有名です (2023.1.17)
西日除けの様なスクリーンがあります (2023.1.18)
型ガラスのスクリーンの様です (2023.1.19)
中央に階段のあるエントランスホール 一時代前の定石のような空間ですがきっちりとおさまっています
(2023.1.20)
見上げた天井 光と影 工夫されています (2023.1.21)
正面 石のレリーフとオリジナルの照明器具 (2023.1.22)
中央に吹抜のスペースがあってこの吹抜を挟んで左右に閲覧スペースがある構成です
吹抜にはトップライトでとても明るい空間になっています (2023.1.23)
吹抜に向かったテーブル とても気持ちよさそう (2023.1.24)
掲示 案内コーナー 木製で暖かく工夫されたデザインも良く考えられています (2023.1.25)
植物園内部 (2023.1.26)
同じく岡田新一の作品で苫小牧市庁舎があります
苫小牧市庁舎 (1983年) 旧舘玄関 (2023.1.27)
左が旧舘正面がつなぎ部分の新しい玄関右は高僧の新館 (2023.1.28)
新館 (2023.1.29)
旧舘内部 (2023.1.30)
つなぎ部新玄関トップライト (2023.1.31)
新館最上階展望室よりの展望
あまり刺激のない一般的な市庁舎でした。 (2023.2.1)
次は伊達市にある藤本壮介の設計した情緒障碍児短期治療施設 ノバウムハウスです
藤本壮介 (1971年〜) (2023.2.2)
バウムハウス (2006年)
施設の用途上これ以上の見学はできませんでした、、2007年の日本建築大賞を受賞した作品です。
35歳の藤本壮介出世作です。 集合型のデザインが特徴です。 (2023.2.3)
次は洞爺湖畔にあります 隈研吾が設計したホテル WE HOTEL TOYA です
隈研吾 (1954年〜) (2023.2.4)
WE HOTEL TOYA 前の飛び出している建物は大浴場です (2023.2.5)
大浴場棟正面 (2023.2.6)
建物裏のエントランス こちらからは全然見栄えしないエレベーション
隈研吾の建築でいつも思うのですが、写真の見栄えを考えたポイントからのエレベーションはものすごく写真写りが良いのですが、
それ以外の部分は全くデザインされていない部分があります (2023.2.7)
エントランス モノクロの写真は見栄えしますが、実際は安っぽさをかんじました (2023.2.8)
ロビー (2023.2.9)
天井、壁共 レースで覆われています 仕上げ材単価は安く済みそうです、
村野さんが八ヶ岳美術館でレースを使った天井を見た時はとても感激しましたが、今回は残念! (2023.2.10)
ロビー奥の通路部分?ダイニング? (2023.2.11)
スナック 酒樽を並べた 一見驚くデザインですが、洗練されていません
この建物も写真写りは良いのですが、私の心に伝わってくるものは何もありませんでした (2023.2.12)
洞爺湖 (2023.2.13)
次は山本理顕が設計した函館市の郊外にあります はこだて未来大学
山本理顕 (1945年〜) (2023.2.14)
はこだて未来大学 (2000年) (2023.2.15)
ガラスのカーテンウォール モダン建築の理念そのまま造った建物です (2023.2.16)
南西向きのエレベーション 夏の暑さはどうなっているのだろう少し心配になります。(2023.2.17)
裏側(実はこちらが玄関もあって表側になります。 屋外階段が決まったスパン事にあります (2023.2.18)
玄関部分 (2023.2.19)
正面より 山本理顕らしいシンプルなエントランス (2023.2.20)
屋外階段同様内部にも決まったスパンごとに屋内階段があります (2023.2.21)
吹抜方向に並行する通路 (2023.2.22)
大きな吹き抜け空間に仕切りだけで区画された研究室
こんな研究室初めてですが、使い心地研究材料の秘密性など大丈夫? (2023.2.23)
工場のような大きな空間にある研究室 (2023.2.24
ミーティングスペース? 食事をするスペース? (2023.2.25)
学生さんに使い心地を聞いてみたい?
こんなスペースもありました (2023.2.26)
函館の観光地を巡ります
八幡坂を上ってハリスト正教会があります
ハリスト正教会
現在は工事中で内部見学はできませんでした。 (2023.2.27)
ハリスト正教会の向かいに聖ヨハネ教会があります
聖ヨハネ教会 (2023.2.28)
ハリスト教会の隣にはカトリック元町教会があります
カトリック元町教会 (2023.3.1)
北西に少し歩くと旧函館区公会堂があります
旧函館区公会堂 (2023.3.2)
2階ホール (2023.3.3)
旧函館区公会堂の前に元町公園がありその中に旧北海道庁函館庁庁舎があります
旧北海道庁函館庁庁舎 (2023.3.4)
次は五稜郭に行きます
五稜郭 (2023.3.5)
2010年に復元された奉行所 (2023.3.6)
奉行所内部 (2023.3.7)
2006年に竣工した二代目五稜郭タワー (2023.3.8)
タワーから見た五稜郭 (2023.3.9)
函館山方向を見る (2023.3.10)
函館山から見た夜景 (2023.3.11)
次は小樽です、観光地を巡って特に近代建築は見ませんでした。
小樽運河 (2023.3.12)
運河沿いに遊歩道があって水に近い距離感が良い (2023.3.13)
運河を巡る遊覧船もある (2023.3.14)
運河沿いの倉庫時代を感じます (2023.3.15)
木造トラスのガラス店 雰囲気があります (2023.3.16)
札幌に入ります西区宮の沢にあります五十嵐潤の設計の
カフェ・パレタ・デ・アスール (shopinfo.jp)
五十嵐淳 (1970年〜) (2023.3.17)
カフェ、バレタ、デ、アスール (2010年) 閉店しているようでした。 (2023.3.18)
奥に二階建ての住宅があり手前に突き出た店があるような作りです (2023.3.19)
突き出た先が入り口だったようです (2023.3.20)
店の外壁は角波鉄板 住宅の外壁は小幅板たて張りのようです (2023.3.21)
同じく西区にあります
象設計集団の設計した
宮ノ丘幼稚園です
宮ノ丘幼稚園 裏に小高い森があって幼稚園と一体化しているようです (2023.3.22)
4,5棟の建物がありますその一棟こじんまりした建物 (2023.3.23)
正面の棟の屋根にフクロウの風見鶏があります
このフクロウの風見鶏象設計集団の建物で良く見た記憶があります。 (2023.3.24)
正面の棟の裏のエレベーション (2023.3.25)
裏にあるRC造の棟 他の棟とデザインが違う様で目立ちます なぜか? (2023.3.26)
次は北大の中にあります建築スタジアム棟です
設計は北海道大学卒業で名誉教授の小林英嗣教授+日建北海道です
小林英嗣(こばやしひでつぐ 1946年〜) (2023.3.27)
建築スタジオ棟(2009年)
とてもシンプルなモダン建築です (2023.3.28)
この跳ね出しはかなりアクロバティックです (2023.3.29)
谷口吉生バリのエレベーションです (2023.3.30)
このアングルが見せ場のようです (2023.3.31)
角の複数の柱上部に繋がっているのは一本のみ? (2023.4.1)
やはりこの部分構造的にどのようになっているか分かりませんでした。 (2023.4.2)
次はアントニン・レーモンドの設計の札幌聖ミカエル教会です
アントニン・レーモンド (1888年〜1976年)
レーモンドはフランクロイドの弟子と言う事で有名ですが、私はレーモンドの作品からライトよりフランスの建築家オーギュスト・ペレの影響を強く感じます。
またレーモンドの事務所から前川国男、吉村順三、ジョージ・ナカシマなどの建築家が育っていて日本の建築家の歴史の重要な礎となっていると思います。 (2023.4.3)
札幌聖ミカエル教会 (1961年)
レーモンドらしい木造の教会で街中にあって隣には付属の幼稚園がありました。 (2023.4.4)
腰折れの切り妻の前に低く抑えて付けられた下屋のプロポ−ションがとても良いバランスです (2023.4.5)
下屋玄関部 レーモンドの妻ノエミのデザインで和紙を貼っています (2023.4.6)
レーモンドらしい丸太のトラス屋根
腰折れの勾配を正面の打放の壁に反映させその上にトラス屋根の勾配で採光しています
私の観たレーモンドの作品の中で私はこの作品一番好きかもしれません (2023.4.7)
低層部はレンガの壁です (2023.4.8)
レンガの積み方もフランス積の小口を小端に変えてつんでいます
レーモンドの作品からは木、レンガ、コンクリート、ガラスなど材料をよく知っていてその材料の良さを使い込んだデザインを勉強できます(2023.4.9)
正面祭壇
聖ミカエル教会はローマカトリックとプロテスタントの中間の教会です (2023.4.10)
祭壇上のトラス屋根の採光 (2023.4.11)
トラス屋根のハサミ梁詳細 (前出の伊丹潤の ニドム石彩の教会はこの梁を参考にしている事が良くわかります)
(2023.4.12)
次は佐藤武夫が設計した北海道開拓記念館です
佐藤武夫 (1899年〜1972年) (2023.4.13)
佐藤武夫は早稲田大学の教授で日光の鳴き竜を解析した音響の開拓者で後に佐藤武夫設計事務所(現在佐藤総合計画)を主宰する
北海道開拓記念館 (1970年)
前面の列柱建物のレンガタイル 歴史を感じさせる要素と素材であるが古くは感じない
前方に突き出た二枚の塀の間に階段がある
良く考えられたアプローチです (2023.4.14)
正面に旗竿3本 邪魔ではなく空間を作っている (2023.4.15)
正面柱上部 (2023.4.16)
柱下部 浮いている (2023.4.17)
ホール レンガタイルの壁に挟まれている (2023.4.18)
ホール側面 (2023.4.19)
ホール2階 (2023.4.20)
凹凸のあるレンガタイルの貼り方 とてもうまい (2023.4.21)
次は彫刻家イサム・ノグチのデザインしたモエレ沼公園です。
イサム・ノグチ (1904年〜1988年) (2023.4.22)
ピラミッドをかたどった山があるかなり広い
モエレ沼公園 (2023.4.23)
公園模型 (2023.4.24)
ガラスのピラミッドが見える (2023.4.25)
公園からのエントランス (2023.4.26)
丸く切り取られた中庭 (2023.4.27)
粗い石とガラスを対照的に並べたデザイン うまい (2023.4.28)
ガラスのピラミッドの内部 (2023.4.29)
構造的に主唱しないとても軽く表現されている (2023.4.30)
ガラスのピラミッドの中からピラミッド山を望む (2023.5.1)
スケールが広すぎて把握しにくいのだが本来歴史的な遺跡はこれ位広いスケールなのかもしれない、
私のスケール感が現代日本のスケール感なのかもしれないと築かせてもらいました。 (2023.5.2)
次は六花亭真駒内ホール店で設計は丹下健三都市建築設計研究所で丹下さんの作品を支えた古市徹雄です
古市徹雄 (1948年〜2019年) (2023.5.3)
六花亭真駒内ホール店(2002年) (2023.5.4)
とてもシンプルな建物です (2023.5.5)
シンプルと対照的な正面レリーフ (2023.5.6)
エントランスの左はレストラン、右は店舗になっている (2023.5.7)
エントランスホール正面にあるきれいなデザインの廻り階段 (2023.5.8)
段板は自然木とてもきれいな納まりです (2023.5.9)
店舗内部 (2023.5.10)
店舗窓側ルーバーがデザインポイントです (2023.5.11)
レストラン内部 (2023.5.12)
細部もとてもきれいにデザインされています
男子トイレ (2023.5.13)
手洗い 半透明のガラスを斜めに設置して洗面器の代わりになっています
とても勉強になる建物でした。 (2023.5.14)
次は札幌市の郊外にある真駒内滝野霊園 頭大仏殿 です 設計は安藤忠雄です
安藤忠雄 (1941年〜) (2023.5.15)
真駒内滝野霊園 頭大仏殿 (2023.5.16)
とても広い開発中の霊園でなぜかモアイも並んでいます
なぜかモアイも (2023.5.17)
劇的なアプローチを好む安藤らしく水盤の向こうにトンネルがあってその奥に大仏の頭が見える (2023.5.18)
水盤のエッジの納まりはきれいです (2023.5.19)
トンネルをくぐると (2023.5.20)
大仏が
雑誌で見る印象を大きく外れた怪しげな作品で安藤らしい引き締まった空間もありません 残念な作品でした。
(2023.5.21)
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