建築 雑コラム 43
Architecture The s Column
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フィンランド ヘルシンキ
ヘルシンキには5回目の訪問となる、今回は駅近くに最近建ったヘルシンキ中央図書館と教会建築に関してまとめてみます。
まずはフィンランドの
ALA建築事務所による2018年12月に竣工したヘルシンキ中央図書館を紹介します。
ヘルシンキ中央図書館 (2018年) (2020.3.10)
ALAarchitects サムリ・ウーリストン、ユハ・グロンホルマンド、アンティ・ナスヨキ
事務所のホームページを見るとノルウェーのperforming arts center やこのヘルシンキ中央図書館、そしてヘルシンキ空港
などの写真から見ると大きな逆勾配の庇の下を得意とした空間を創っている。 (2020.3.11)
ノルウェーのperforming arts center (2020.3.12)
ヘルシンキ空港 (2020.3.13)
ヘルシンキ中央図書館 (2020.3.14)
この庇は今 流行しているのか今回の隈研吾さんのオリンピック競技場でも見受けられる。
隈研吾 東京国立競技場 隈さんの作品は木が使ってあって環境にやさしそうで、
この逆庇の下の空間は いま世界中ではやっているのでしょう。 しかし隈さんの作品は20年先に見てみたい
実を言うと等々力で見たまだ10年も経っていないボロボロになった村井正誠記念美術館の印象があってそう思うようになりました。
やはりALAのほうが追及が深いように思われます。 (2020.3.15)
ヘルシンキ中央図書館に戻ります。
ヘルシンキ中央図書館 下部は木で上部はガラスです (2020.3.16)
構造的な接地点は両端のみで橋梁のような構造になっているのかもしれません (2020.3.17)
楽しくなるピロティー下の空間
ピロティー下の空間はかって丹下健三さんと吉坂隆正さんの建築のピロティーを見てなんでこんなに違うのかと思ったことを思いだしました。
隈さんの逆庇の下を歩いた時とこの中央図書館の逆庇の下を歩いた時の違い分かるでしょうか? (2020.3.18)
1階内部ホール (2020.3.19)
1階平面図 (2020.3.20)
駅側エントランス (2020.3.21)
受付案内カウンター (2020.3.22)
二重らせんの回り階段 (2020.3.23)
木集成材の段板 (2020.3.24)
2階平面図
2階はパソコンや小規模な会議などのスペースが並んでいます。 (2020.3.25)
2階は構造のトラス梁部分に造られているようです (2020.3.26)
パソコンスペース (2020.3.27)
3階平面図
最上階の曲面天井のオープンな開架図書室 (2020.3.28)
トップライト部詳細 (2020.3.29)
三角の手すりから2階が覗ける (2020.3.30)
両端部は床が段上に上がっていて下部はトイレなどのスペースになっている (2020.3.31)
低い本棚 伊東豊雄さんの「みんなの森メディアコスモス」も低かったがそれよりも低い感じがします。
手前の母子のプレースペースは日本的 (2020.4.1)
図面の下側がテラスになっています。 昼はランチをここでみんな食べていました。 (2020.4.2)
ガラス部納まり すべてフラットな納まりです、ガラスはペアガラス (2020.4.3)
次はフィンランドの教会建築を紹介します。
フィンランドにキリスト教が入ってきたのは11世紀といわれています。
私の見てきた教会を古い順で見ていきます。
まずはヘルシンキ観光で有名なヘルシンキ大聖堂(1852年) 白い外壁と緑のドーム屋根のコントラストが素敵です。
港のマーケット広場から見上げた高台にあって、前面の広い階段は壮観です。
ヘルシンキ大聖堂(1852年) (2020.4.4)
設計はドイツ生まれでフィンランドの建築家カール・エンゲル(1778年〜1840年) です。
カール・エンゲル(1778年〜1840年) (2020.4.5)
ギリシャのパルテノンのファサードから新古典主義の建築家と思われます。
内部 ドーム イオニア式の列柱 (2020.4.6)
脇のドームに書かれた壁画 建物っぽい (2020.4.7)
正面のマリアとキリスト生誕の絵画 小さい十字架
プロテスタント ルター派の教会らしく祭壇は簡素で十字架はシンボル的で簡素です。 (2020.4.8)
同じカール・エンゲルは トウルク正教会も設計しています。
トウルク正教会 (1846年) (2020.4.9)
やはり緑の丸いドーム屋根です。
内部 コリント式の列柱が並んでいます。
正教ですからロシア正教の教会だと思います。 (2020.4.10)
ヘルシンキにもロシア正教の教会があります。
ウスペンスキー教会(1868年) (トラムToveJanssonin p駅)
赤レンガに緑青の緑屋根です、丘の上にあります。 (2020.4.11)
近くにアルバー・アアルトが設計した エンソ・グートツアイトビル(1962年)があります。
エンソ・グートツアイトビル(1962年) (2020.4.12)
正面 (2020.4.13)
祭壇 (2020.4.14)
中央ドーム (2020.4.15)
フィンランドの教会はルター派やロシア正教が多くカトリック派は少ない様でバジリカ方式の重厚な教会は少なく個性的な教会が多いと思います。
1941年にトウルクに建てられたエリック・ブリュッグマン設計のトウルクの復活礼拝堂です。
エリック・ブリュックマン(1891年〜1955年) (2020.4.16)
エリック・ブリュックマンはアルヴァ・アアルトがトウルクで事務所を持っていた事務所で協労していた。
トウルクの復活礼拝堂(1941年) (2020.4.17)
低い位置の連窓は森の景色と一体化している (2020.4.18)
スエーデンの建築家アスプルンドの森の墓地とかなり共通する部分があって多分影響されているのでしょう
礼拝堂と森の空間を一体化したところはアスプルンドにはなく日本の空間に近い感じです (2020.4.19)
祭壇も中央になく、プランも左右対称でもない、椅子も斜めの配置で とても個性的な空間です
フィンランドでアアルト以上に私の好きな空間です (2020.4.20)
次はヘルシンキの街中にあります岩盤の地盤を繰り抜いてスオマライネン兄弟の設計で創られたテンペリアウキオ教会(1968年)です
テンペリアウキオ教会(1968年)
スオマライネン兄弟(1928年〜1968年、1931年〜1988年)はフィンランドの建築家です(2020.4.21)
宇宙船の底のような天井を360度のリブで支えリブからの自然光は時間とともに変化していきます (2020.4.22)
岩盤を削った部分と積み上げた部分とあります、中央はパイプオルガン (2020.4.23)
アルヴァ・アアルトの教会を二つ紹介します。
アルヴァ・アアルト(1898年〜1976年)
アアルト初期のころ1929年にユバスキュラに近いムーラメに建てた教会
ムーラメの教会(1929年) (2020.4.24)
内部 (2020.4.25)
1958年にイマトラに建てられたヴォクセンニスカの教会
ヴォクセンニスカの教会 (1958年) (2020.4.26)
ハイサイドの窓 (2020.4.27)
左右対称ではなく 外部との繋がりのない内部空間を光で演出しています (2020.4.28)
アアルトらしいハイサイドの窓 (2020.4.29)
アルヴァ・アアルトの後フィンランドで有名な建築家はユハ・レイヴィスカ(1936年〜)です
ユハ・レイヴィスカ(1936年〜) (2020.4.30)
多分皆さんよく見たことがあると思いますが、照明器具もデザインしています。
ユハ・レイヴィスカのデザインしたペンダント照明 (2020.5.1)
ヘルシンキの街にあるミュールマキ教会(1984年) (P線空港から中央駅に鉄道、Louheia駅)
ミュールマキ教会(1984年) (2020.5.2)
現在(2019.3月より)改装工事のため数年工事中です
外部との繋がりのない空間を縦スリットからの光で演出しています (2020.5.3)
外部からは想像もできない感激的な内部空間です、この照明 私の師志水正弘先生の旅館蓬莱の群れボタルの照明を思い出します
群れボタルの大広間 (2020.5.4)
縦のラインがレイヴィスカのデザイン基調とおもわれる (2020.5.5)
同じくレイヴィスカの設計でヘルシンキ郊外にありますパキラ教会(バス67番Halkosuontie駅)
パキラ教会 (2020.5.6)
外観からは想像もできない内部空間
レイヴィスカの建築は内部空間からイメージされているようだ (2020.5.7)
群れボタルの照明 電気がついたらきれいだったろうと思われます (2020.5.8)
コーナーにあるパイプオルガン (2020.5.9)
シンプルな聖職台 とてもきれいなデザインだ (2020.5.10)
縦スリット (2020.5.11)
スリット詳細 直射日光を避け薄い袈裟を通して迎えの壁には青や、赤のパネルがあって光は反射して繊細な色が反映されている (2020.5.12)
次はヘルシンキの郊外に建つヘルシンキの建築家グループ
JKMMArchitectsのサムリ・ミエッテネン設計のヴィーッキ教会(2005年)
(バス停78番 Agronominkatu駅)
サムリ・ミエッテネン (1967年〜) (2020.5.13)
外観は一般的な感じの建物です (2020.5.14)
木縁甲板張りの外壁 (2020.5.15)
正面に透明アクリルに金色の植物の葉の様な模様 内装は木素地仕上げ (2020.5.16)
合わせ束で吊られた木格子天井 (2020.5.17)
講義室 (2020.5.18)
JKMMArchitectsが最近ヘルシンキの中心地カンピ広場で設計したAmos Rex Museum
Amos Rex Museum (2018年) (2020.5.19)
丘の様な屋根の上で皆さん腰を下ろし休憩しています。
残念ながら内部見学はできませんでした、次回挑戦してみます。 (2020.5.20)
同じような木の吊り天井でアアルト大学の中にありますカイヤ&ヘイッキ・シレンが設計したオタニエミチャペル(1957年)は傑作です。
カイヤ・シレン(1920年〜2001年) ヘイッキ・シレン(1918年〜2013年)
オタニエミチャペル(1957年) 外観はやはり教会らしさはない (2020.5.21)
木と鉄筋のトラス梁 正面は解放されて森と一体になっている、トウルクの復活礼拝堂の進化系か? (2020.5.22)
正面に 森の中に十字架があります
これどこかで見たようなそうです安藤忠雄の水の教会 安藤さんはかなりの影響を受けています (2020.5.23)
よく似ていますが安藤忠雄はよりシンプルになっています (2020.5.24)
正面と反対方向ハイサイドの窓からの採光 穴の開いた束は吊り材ではなく圧縮材の様です (2020.5.25)
次はフィンランドのインテリアデザイナー イルマリ・タピオヴィーラー(1914年〜1999年)の設計したラウッタサリー教会(1958年)
イルマリ・タピオヴィーラー(1914年〜1999年) (2020.5.26)
ラウッタサリー教会(1958年) (バス20X線 Lauttasaarenkirkko駅) (2020.5.27)
コの字のプランで反対側の建物 (2020.5.28)
礼拝堂側面 (2020.5.29)
礼拝堂内部 (2020.5.30)
とてもシンプルな祭壇 (2020.5.31)
背面側に大きな開口があって背後から光が入って来る (2020.6.1)
最後に以前も紹介しましたヘルシンキの街の中心カンピ広場にあるカンピ礼拝堂(2011年)を紹介します。
カンピ礼拝堂 (2011年)
フィンランドらしく木を使った丸っぽい建物を多く創っています。 (2020.6.2)
設計はヘルシンキの若い建築家グループ
K2SArchitects の設計です。
Kimmo Lintula Mikko Summanen Niko Sirola
の三人のフィンランドの建築家を中心に活動しています。 (2020.6.3)
ホテルからの夜景
カンピ礼拝堂の外壁は松材の30mm位の厚さの板を90mmピッチ位に重ねて造られています。
築4年ほどたっているが、汚れも灰汁もない状態 クリアー塗装は何を使っているのだろう?(2020.6.4)
内部の仕上げも全て 木 (2020.6.5)
外壁と屋根とのスリットから漏れてくる光は木の内壁を浮かび上がらせている (2020.6.6)
椅子も 木 でシンプルなデザイン (2020.6.7)
神父の説教台も簡素なデザイン 緑のクロス上のクロスが貼ってある (2020.6.8)
ろうそく台と花瓶もとてもシンプルです (2020.6.9)
石のようですがクッション (2020.6.10)
ロウソク台 (2020.6.11)
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