KAKO  ARCHITECT   &   PARTNERS

■住宅について
 
●住宅の造り方にはいろいろな方法がありますそれぞれの特色から自分にあったものを選択すると良いでしょう 
 

*ハウジング展示場に行ってその中で選ぶ。


 最近多くなっている方法です、自動車を買う感覚で住宅も買えます。実際に建っている建物があるので


 イメージしやすいのが特色です、建築予定の敷地や周りの環境にどこまで適応させれるかがポイントです。


 営業マンは兎に角速攻型が多く図面や資料をあっという間に出してきます。考える間もなく押し切られないよ


 うにしましょう。


 気になることがあればストップをかけて一生のことですから良く考えて決めましょう


 時間がなく急いで建てる時に適しています。


 展示場は車でいえばクラウンクラスの建物ですから注意してください。


 展示場で見ることで了解を得るということで、詳細の図面までは書かれなく10枚程度の図面と見積書で


 進められることが多いようです。


 工場生産タイプの製品は耐震性は期待できます。建物の耐用年数は30年程度、自然素材は期待できません。


 工場生産でなく在来工法の業者は下請け大工に施工させていますが、下請け大工からの情報ではかなり厳しい


 単価と、あまり感心できない材料、雑な施工の話を良く聞きますので注意が必要です。(全部ではないと思い


 ますが) 




*地域の大工、工務店でつくる。


 大工にもいろんなタイプがあります。まず代々続いている大工(宮大工などもいます)は木の材料を良く


 知っていて、良い材料を使ってくれます。昔から伝わる技術を伝承している人たちです。


 古くからある4八帖(八帖が四部屋あり冠婚葬祭に使える間取り)で入母屋の瓦葺住宅を希望の方には


 お勧めします 


 (新しい生活様式への適応性がなくハウジングに押されジリ貧状態ですが、是非残したい伝統ですので、私は


  今後彼らとうまくコラボレートして いければと思っています。)


 その他、上記の大工から独立した者から鉄骨などの建物の木工事などで釘と金ズチ位しか使ったことのない者


 まで多種多様です。いずれも確認申請程度の図面(4〜5枚程度)とざっとした見積もりで工事をしていると


 ころが多いようです。


 自然素材意外使わない大工さんは良いのですが、一般的には化学物質等に関しては情報が遅れていて化学物質


 を心配される方は不向き (一部施工者では関心の高い業者もある)

 
 工務店、ゼネコンもいろいろあって木造が得意の工務店(数は少ない)や、鉄骨やRC造が得意な工務店があ


 ります。得意分野以外はまるっと下請けに回されますので選択に注意が必要です。


 (また大手、中堅クラスの工務店、ゼネコンは住宅クラスは採算が合わないので一般的には不向きです)


 設計は内部に設計部があるところもありますがほとんどは外注しているところが多いです、


 内容は確認申請程度から図面20枚程度です。 外注ですから幾度の変更を嫌がり、詳細な希望が伝わりにくい


 ことがあります。設計料は無料と言われますが、外注費がかかりますので見積書に書かれてないだけで、工事


 費の中にしっかり入っています。 大工、工務店共に設計施工ですと他社との見積もり競争がないために高く見


 積もりが出る事が多いようです。


 責任施工ですからクレームが出たときは責任がはっきりしていますが、施主側に専門知識がないため丸め込ま


 れないよう、気をつけて下さい。



*設計監理を設計事務所に頼み、図面を基に数社の施工業者から競争見積もりを取って業者を決定して、施工し


 てもらう。


 手前味噌ですが、しっかりと自分の希望をかなえた住宅をほしい方には是非お勧めする方法です。


 設計監理料は掛かりますが、自分の希望を図面や模型などで把握検討し試行錯誤した上で満足のいくものを実


 施設計図にしてもらいその実施設計図で競争見積もりを取りますから適正な価格で、納得した価値のものをつ


 くってもらえます。


 設計事務所に同時に監理もしてもらうことがポイントです。


 ハウジング、大工、工務店でする時は、すべての材料や設備、空間や使い勝手を最終的に把握コントロールし


 ている人はいません、それぞれの職人や設備業者が早い者勝ちでそれぞれの普段慣れた方法で施工していきま


 すので出来上がったときにはばらばらな状態になりがちです。


 設計事務所の担当者は建築の空間に合わせた材料を適材適所に使用し、設備等を含めて最終のイメージを持っ


 ている唯一の人です。


 このイメージがあるから家はバランスよく最終目的に向かってそれぞれの職人さん達がそれぞれの技術を最大


 限に集約して行くことが出来ます。


 このイメージを伝えるのに図面や模型があり、また何度と繰り返される打ち合わせがあります。


 ですから、このイメージが重要なポイントで、クライアントの求めているものと設計事務所のイメージが出来


 るだけ一致していることがベストだと考えます。


 設計事務所にもいろんな事務所があります。


 大手の設計事務所ではほとんど住宅は設計しませんし、私の所のように小さい事務所は逆に高層ビルなどは行


 いません。それぞれ得意とする分野がありますのでそれを見分ける必要があります。


 また設計事務所選定で注意しなければいけないのは、施工業者や材料メーカーなどからバックマージンを取っ


 ていたり、施工業者、設備業者に図面を書いてもらっている事務所、また逆に施工業者から図面書きや申請作


 業の下請け仕事をもらっている事務所がかなりあります。両方足すと悲しいことに6割以上の設計事務所が該


 当するでしょう、


 これらの事務所は正常な判断が出来ませんので避けるべきです。


 また、設計の好みも無視できません、設計事務所のセンスとクライアントの好みが合わないといけません。


 特に作品中心の建築家は写真を撮るため、広くて高い空間をつくりたがる傾向にあります。


 生活にあった自分の空間を求めてください。 


 設計事務所の選択がすべてを左右します。


 事務所の情報や、過去の仕事の情報、過去に建築された方からの情報などを参考に慎重に選定されるよう


お勧めします。






●住宅雑感

住宅は家族の生活の器とよく言われます。
  
しかし家族の生活が現在希薄になっているように感じます。

私の祖父の時代(約80年前)の住宅(民家と呼んだほうがぴったりする)は

農家でも、町屋でも24時間その中で家族が生産し、また生活をしていました

父の時代(約50年前)には多くの家族が都会に移り、父親が社会に出て家から生産の場と父親がまず希薄となっ


ていきました。

私の時代 (約20年前から)には父親のみでなく母親も社会に出るようになり、子供も学校、塾、習い事と家の中


に家族が居る時間は寝る時間を残して希薄になっています。

同時に家を維持する時間も少なくなって、大掃除もなくなり、食事の時間も少なくバラバラになっています。

こんな時代に生活の器を反映して希薄な住宅を造っていていいのでしょうか

住宅雑誌にはファッション雑誌よろしく生活感のない家が多く、この空間で育つ次の世代が心配になります。

一方、日本の人口は今後25年で80%に減少し、一挙に高齢社会に突入していきます。

右肩上がりの社会では自分の両親の老後も税負担で社会が面倒見てもらえれるような仕組みを考えれましたが、


今ではそうもいきませんので今後は親の老後も大きな要素として住宅に反映される時代になるでしょう。

また、地球資源やエネルギー問題を考えると私は現状のままの希薄な家の時代はそんなに長くはないように感じ


ます。

そこで、私はこんな住宅を目指して行こうと思っています。

まず最低限、100年持ちメンテランスの負担の少ない家  
   
化石エネルギーをなるべく使う事無く、自然を利用した快適な温熱、湿度環境で生活できる家

家族構成の変化に対応できる家

日本人の私達の生活形態にあった家


再生産の可能な材料による家          

を目指そうと思います。

そして、かっての民家のように24時間家族が居て生産し、生活する、私達日本人にあった世代を超えて使える


生活様式を模索する時代になるのではと期待しています。
   
(これは、情報手段がもっと進み人が必ずしも都市に居なくても住宅で仕事のほとんどができる時代になると可


能になります)

    
また、住宅はかってそうであったように、建築家が関わるのではなく、自分達がつくり自分達で生活に合わせて


変えていける時代になった方が良いのではないかとも思っています。 


加古 斉